まず気になるのが、「売り値を指定する」という仕様。株なんて時価で売れるものだと思っていたし、現に57万円とかで売れたそうなので、そもそも売り値の指定に意味があるのかと。意味があるとすれば、最低売買価格の指定、つまり、この値段以下なら売らないよという値段の設定ということになりますが、確かにこれだと1円でもはじくわけにはいかなさそう。経営破たんした会社が1円2円で取引されていたのを見たことがあるので。
株数の上限については、空売りが可能な時点で、保有株数で上限を決めることは無理でしょうし、発行済み株数で上限を縛ろうとすると、増資などによる株数の変動への対応とか大変そうですし、なにより、今の取り引き数で、売り注文に対していちいち株数のチェックを入れていたら処理が間に合わないでしょう。
それより個人的に一番問題たと思うのは、キャンセルが効かなかった原因である、売値の指定方法。売り注文を行った際に指定した額(1円)ではなく、実際に売った額である57万2千円と指定しないと、キャンセルできないという仕様は、1円と指定した人の人為的なミスというにはあまりに酷で、むしろシステムの瑕疵と言っても良いぐらいではないかと個人的には思います。そもそも注文番号等で管理していれば良い話ですし、注文内容を間違いなく記述させることによる認証の意味があるのであれば、注文時にオペレータが入力した値と異なる値が実際に採用されるような項目(売り値)を、そうした認証用の項目に入れては駄目でしょう。
そもそも論はそうだとして、そういう仕様のものを受け入れ、今まで使い続けて十分に慣れていたということであれば、その会社やオペレータにも問題ありということになるとは思いますが。ただ、あれだけの誤発注をやっちゃった人に、いくら慣れていたとしても、そこまで冷静になれるかという話もあります。発注担当と、キャンセル担当を分けるとか、運用面での工夫もしないといけないでしょうね。
追記:東証が自社のシステムに不具合があったと認めたようです。内容が分かりませんが、上記の仕様の話でしょうか?